◇◇ イチョウ葉エキスってなに? ◇◇
1. はじめに
2. 今、なぜイチョウ葉か? 3. イチョウ葉エキスの歴史 4. 代替医療におけるイチョウ葉エキス |
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1. はじめに
日本から輸出されたイチョウ葉が、ヨーロッパで医薬品として利用されて30年以上になります。今では、世界中で最も愛用されているハーブサプリメントとして定着しています。ドイツやフランスでは、ドクターが60歳以上の人には、脳の機能低下防止のために大概の人にすすめるハーブです。世界的に医療現場でハーブサプリメントが使われ出していますが、中でも長年に渡って使われ、有効性や安全性の裏づけが確立されているイチョウ葉エキスは、ハーブサプリメントの優等生と言われています。
世界一の高齢化社会となる日本においても、イチョウ葉エキスは最も注目される素材です。介護の問題がクローズアップされていますが認知症を考えた時、脳に対して抜群の賦活作用を示すイチョウ葉エキスは、
「見えない介護用品 」と位置づけられるものです。
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ヨ−ロッパの医薬品として使われたイチョウ葉エキスの原料は、日本で管理栽培されたイチョウ葉からスタ−トしています。街路樹のイチョウではなく、畑で作られたものを利用しています。無農薬で土壌管理した畑で、葉を大きくし、有効成分であるフラボノイドとテルペノイドの含有量を多くするように作られています。街路樹のイチョウ葉では、排気ガスや土の栄養不足により有効成分は銀杏の木の自己防御に使われてしまい、抽出してもエキスができないため、畑で作られています。
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![]() 新潟県佐渡島のイチョウ葉の管理栽培畑
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イチョウの畑を見られたことはないと思いますが、茨城県で最初に畑が作られ、全盛時には宮城、栃木、新潟、熊本など広く栽培されました。現在は、日本産が品質が良くても葉の栽培コストが高いという理由で、外国産ものが多く出回るようになりました。しかし現在でも最も品質が良いのは、新潟県佐渡島の栽培畑(佐渡薬用植物栽培組合)のものです。完全有機栽培の上佐渡の加茂湖で養殖された高品質のカキの殻を粉砕して、土に与えたり銘柄米のコシヒカリの米糠を与えるなど、たいへん丹精された畑で優良なイチョウを栽培されているからです。
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![]() 管理栽培されたイチョウ葉と街路樹の比較
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2. 今、なぜイチョウ葉か?
二十一世紀は、脳の時代と言われていますが、確かに現在最も関心を集めているのは脳と心です。二十世紀の自然科学が、ルネ・デカルトの心身二元論により、肉体と精神を分離した唯物主義の科学を発達させたため、脳と心の研究は随分遅れてしまったと言えます。
最近、急速に発展し始めた大脳生理学や精神神経学また精神神経免疫学などによって心と体が不二の関係であることが、科学的に証明されだしています。健康という言葉自体もともと健体康心が語源となっており、昔から健やかなる体と康らかなる心は、離すことのできない同義のものとされています。物質や目に見えるもののみを追求した結果、目には見えない心の領域が忘れ去られてしまったようです。ここ数年台頭してきた代替医療やホリスティック医学(全人医療)において最も重要視されているのが心です。 さて、イチョウ葉エキスですが、今なぜと問われれば正しく脳の時代の救世主と言えるからです。歴史の中で登場してくるもろもろの事象や物は、時代の要請が生み出します。世の中に造り出されるものは、人か自然(神と呼ばれるものかもしれない)が造り出したもの以外にはなく、そのことからすれば、現れる全てのものは、何かしらの意味を有していると言えます。見過ごされてきた心の重要性が認識され、奇しくも超高齢化社会における痴呆の問題が浮上してきた現代にイチョウ葉が登場してきたことは、決して偶然ではありません。時代の必然が、イチョウ葉エキスを生んだのです。 3. イチョウ葉エキスの歴史
イチョウ葉自体が薬として使われてきたことは少なく、ギンナンは中国の本草綱目に最初の記載があり、喘息への薬効を上げています。日本の民間療法では、葉の部分はしもやけ・イボ取り・うおのめなどの外用に使われています。イチョウ葉は、漢方処方の中では用いられることがなかったため重要視されていませんでしたが、ドイツの生薬メーカー・シュワーベ社が1965年に大脳の血流改善剤として発売して以来世界中で認知されました。
ヨーロッパ諸国、アジア諸国でも医薬品として使われていますが、特にドイツ・フランスではトップ医薬品として定着しています。医薬品として採用していないアメリカやイギリスにおいても代替医療下におけるハーブサプリメントとして普及が進んでいます。日本においては徐々に認知され、健康食品として普及しだしています。ヨーロッパにおけるイチョウ葉は、もともと日本から紹介された植物であり、イチョウ葉の世界的な名称ギンコビローバも日本の銀杏(ギンキョウ)からつけられたものです。 従って原料は、シュワーベ社が開発した当初から品質の優れた日本産のイチョウ葉を使用し、医薬品の基礎研究から規格化を果たしたのも日本産の栽培イチョウ葉です。 現在、世界的なイチョウ葉エキスの急激な普及拡大を背景に、原料葉の産地については、大きく様変わりしています。本来、ヨーロッパの植物療法の世界では、植物の成分組成が産地によって異なり、品質が決定される要因は、地域の風土環境に関係するため、地理的変異特質を重んじています。これは東洋の生薬においても同じです。シュワーベ社もイチョウ葉について、イチョウ葉ならどこの産地のものでもよいという姿勢ではなく地理的変異重視を貫いて、日本産のイチョウ葉を使っていました。 しかし、この7年〜8年は日本産の原料価格が高いため、ドイツやフランスにおいて栽培に成功したイチョウ葉を使っているのが実情です。イチョウ葉エキスの歴史は正に日本のイチョウ葉栽培の歴史でもありますが、中国産やヨーロッパ産が台頭したため、今や、日本のイチョウ葉は風前の灯火と言えます。 日本産のイチョウ葉存続に情熱をもって努力している会社は、僅かしかありません。開発の初めからイチョウ葉栽培に関わったイチョウ葉産業株式会社(山下涌二郎社長)・終始日本産イチョウ葉に拘わって商品販売を行なっている生命の質Q・O・L 研究会などがそうです。なぜ日本産のイチョウ葉が品質的に優れているのか。今はあまり紹介されなくなりましたが、やはり高温多湿の日本の風土で育ったイチョウ葉が数多くの特性を秘めていると言われます。 医薬品の規格となっているフラボノイド24%以上・テルペノイド6%以上の混合比率のよいこともさりながら、100%の中の残り70%の成分は、日本特有の環境の中でイチョウの木が自ら生き抜くために、抵抗力として蓄積したものです。それらの定量分析できない多くの成分が複合相乗効果を表わします。イチョウ葉エキスは、世界的に認知され新しい研究も続々と発表されています。日本でも東京大学先端科学研究所や九州大学・京都府立医科大学等で研究され学術発表が行なわれており、急速な高齢化が進む我が国でもイチョウ葉製剤の需要が急増しています。 |
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4. 代替医療におけるイチョウ葉エキス
医療の世界的な趨勢として、従来の細分化された西洋医学を見直し、より幅広い医療観に基づき、生活習慣病に対して医薬品での対症療法ではなく、根本療法を行なっていこうという動きがあります。
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欧米において先駆をなし、代替医療あるいはホリスティック医学(全人医療)と称される医療思想です。歴史の中で埋もれたそれぞれの民族の伝統医療(北米ネイティブアメリカン・オーストラリアアボリジニ・ヨーロッパ伝統ハーブ・漢方・鍼灸・ヒーリング・気功等等)も見直し、科学的に検証し、医療現場で活用しようとしています。その流れの中でいち早く見出されたのがハーブサプリメントです。
ドイツ・フランスでは、植物療法が定着化しており、医薬品として採用されているものが数多くあります。その中でもイチョウ葉エキスは、使用実績からして植物療法の代表格です。アメリカにおいては、1994年に制定された栄養補助食品健康教育法において、ダイエタリーサプリメントというあたらしい枠組みが設けられ、この5年間で医薬品でもなく、食品でもないカテゴリーが確立されました。現在では薬の売上げよりハーブサプリメントの売上げが上回っています。 取り組みが遅れた日本では貿易障壁解決の面からのアメリカの外圧により、ハーブの規制緩和がはかられ、2001年4月には健康食品に関して新しいガイドラインが施行される段階まできています。最近目にするエキナセア(北米ネイティブアメリカンが伝統的に用いたキク科の植物で免疫賦活力があり、かぜをひいた場合の喉の痛みは一日で軽減する力がある。)やセントジョーンズワート(西洋オトギリ草という植物でヨーロッパで歴史的に使われてきたハーブで、うつの薬として使われ、世界的に大ヒットした)が解禁されたのも規制緩和のお陰と言えます。 ハーブがダイエタリーサプリメントとして定着したのも、ヨーロッパにおけるイチョウ葉エキスなどの植物製剤の弛まぬ研究と的確な臨床使用があったことが要因となっています。イチョウ葉エキスは、臨床実験においても数多くの学術発表があります。中でもフランスでは大々的な研究が行なわれ、脳を中心とした多くの疾患に対して有効率80%以上という極めて高い有効率を報告しています。 また、天然物であるため人体に優しく作用し、副作用が少ないことが大きな評価ともなっています。代替医療の中でハーブサプリメントが重要視される理由として、天然物であり、そのエキス中の複合成分は生体に対する有効性が程よくバランスされており、生体調整作用を中心とした効果が現れることが従来の化学薬品と大きく異なるところです。イチョウ葉エキスは、循環器系に働くハーブと見られますが、人体にくまなく張り巡らされた血管に対して、生来の柔軟性と代謝性の回復を行なうことが最大の特徴です。 |
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イチョウ葉エキスは、根本治療と健康維持を考え方の柱とする代替医療になくてはならないハーブであります。
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![]() 管理栽培されたイチョウ葉
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